ノエル通信

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VOL.17
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Vol.17

みなさまのお役に立つ情報や楽しい話題をお届けしようと思います。ニュースレターの名前は「ノエル通信」です。どうしてノエル通信なんでしょうね。その不思議にも追々せまってみたいと思います。

診療内容

糖尿病性腎症第二弾!
糖尿病性腎症の多様化

ノエルNo.7で一度“糖尿病性腎症”についてはご説明しましたが、今回糖尿病性腎症についてのその後の話題をお伝えします。
2014年に糖尿病性腎症の病期分類が改訂されました。糖尿病性腎症は初期には検尿異常はありませんが(第1期)、罹患歴が長くなってくると尿中にアルブミンという蛋白の一種が微量に検出されるようになり(第2期)、さらに進むと検尿テープでも解るくらいに尿蛋白が増え(第3期)、腎機能が低下し(第4期)むくみなどの症状が現れ透析が必要になる(第5期)という経過をたどります。しかし最近尿蛋白は殆ど出ていないのに腎機能が低下する例があることが解ってきたため第4期については蛋白尿の有無は不問となりました。

今までは腎臓のろ過装置である糸球体の、蛋白を漏れないようにするバリアが壊れてしまうため腎症が発症・進行し、蛋白尿の増加に伴う尿細管間質(にょうさいかんかんしつ)障害が腎機能を悪化させると考えられていましたが、尿検査で異常が少ないのに尿細管間質や血管病変が進んでいるなど、腎硬化症(腎臓の動脈硬化)による腎障害も合併していることがあり、患者様の高齢化により糖尿病性腎症の病態が多様化しています。そのため、糖尿病性腎症は“糖尿病が原因で腎臓が悪くなった”のか“糖尿病を伴う他の慢性腎臓病”なのか区別がつきにくいこともあり、包括して“糖尿病性腎臓病(DKD)”と呼ぶようになってきています。

基礎研究の進歩
糖尿病性腎症において、研究手法の進歩により将来の治療につながるような細胞レベルでの病態解明が進んでいます。その一つに“オートファジー”という、“細胞が自分にとって不要なものを分解して恒常性維持に働くサバイバル作用”が関与していることが解ってきました。2016年に大隅博士がオートファジー研究でノーベル賞を受賞されたことは記憶に新しいと思います。糖尿病ではポドサイト(糸球体のバリアとしての働きのために重要な細胞)のオートファジー機能が低下し、蛋白尿の増悪につながるといわれています。また、尿細管でもオートファジーが低下しているといわれており、オートファジーを回復するお薬が糖尿病性腎症の治療にならないか研究が行われています。

糖尿病性腎症の進行には高血糖による慢性炎症・酸化ストレスが関与していることが解っていますが、より詳細な解明が行われています。その一つに遺伝子を制御する“転写因子”という物質を活性化し、細胞を慢性炎症や酸化ストレスから保護する遺伝子を増やすお薬が糖尿病性腎症の治療薬として実用化が期待されています。




糖尿病性腎症の重症化を予防するプログラム
上述の他にも糖尿病性腎症についての基礎研究は急速に進んでいますが、現状では病気が進行すると有効なお薬がなく、腎機能が低下すると食事療法も難しくなってしまいます。

また、高血糖が長時間持続すると高血糖による悪影響を遺伝子が覚えており、その後血糖コントロールが改善しても合併症の進展抑制が困難になることなども解ってきているため、早期より血糖を良好に保つことが重要です。

初期の血糖コントロールについては、インクレチン関連薬やSGLT2阻害薬と呼ばれる新しいお薬が使えるようになり、また、ノエル7でお話したアンジオテンシンIIを抑えるお薬の腎保護作用も有効性が確立されています。血糖コントロールおよび高血圧や脂質異常、肥満、高尿酸、喫煙などの危険因子を是正することにより、糖尿病性腎症は早期であれば治ることが期待できるのです。

透析が必要となる腎臓病の第一位は糖尿病性腎症です。そのため2016年厚生労働省は透析が必要となる糖尿病患者様を減らすために“糖尿病性腎症重症化予防プログラム”を策定し、以後同プログラムの更なる展開に向け地域ぐるみで取り組まれています。まずは第2期の段階までに糖尿病性腎症を見つけ、早期から治療を開始することが何よりも大切です。知らない間に腎臓が悪くなってしまわないよう、検診などで糖尿病(疑い)と言われたことがある方、一度受診はしたもののその後治療が遠のいている方などは、症状はなくてもまずは再度検査を受けて下さい。

(参考文献;日腎会誌2017:59:43-78)

(院長 橋爪喜代子)

スタッフを紹介します

こんにちは。看護師末山です。去年の2月から月に数回午後診をメインに勤務させて頂いています。月に数回の勤務なのでお会いしたことのない患者さまもたくさんいらっしゃると思いますが、いつも皆さんに優しくして頂き助けられています。笑顔を忘れず、少しでも皆さんのお手伝いができるよう頑張りますので、これからもよろしくお願いします。