ノエル通信

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VOL.23
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みなさまのお役に立つ情報や楽しい話題をお届けしようと思います。ニュースレターの名前は「ノエル通信」です。どうしてノエル通信なんでしょうね。その不思議にも追々せまってみたいと思います。

診療内容

発行年の情報により作成しています。
その後のガイドライン改訂などにより、最新の情報を反映していない場合があります

「CKDガイドライン2023」
~慢性腎臓病(CKD)について 第2弾~


“CKD”について 第2弾
CKDとはChronic Kidney Diseaseの略で「慢性腎臓病」と訳します。進行すると末期腎不全となり透析や腎移植などの腎代替療法を要するばかりではなく、心血管疾患や死に至る重大なリスク因子です。
CKDを早期に発見し適切に対応するため、昨年「CKD診療ガイドライン2023」が改訂・刊行されました。日本腎臓学会が中心となりCKD対策を促進した結果、増加傾向だった透析患者数は 2022 年には減少に転じ、新規透析患者数も減少傾向となっています。
当院では「ノエル通信No.12」でCKDについて一度で取り上げましたが、今回第2弾として新しいガイドラインの内容を、皆様に解りやすくお伝え出来ればと思います。

まずCKDの定義ですが、①検尿異常(特に蛋白尿)、②腎機能の指標である糸球体ろ過率(GFR)60㎖/分/1.73㎡未満 ①②のいずれかもしくは両方が3ヶ月以上続く場合に診断します。CKDはその原因や重症度により治療や予後が異なるため、蛋白尿が多い、もしくは蛋白尿・血尿とも陽性の場合は腎生検という腎臓の病理検査を考慮します。糖尿病や高血圧に関連したCKDかどうかについても調べます。

CKDは普段の生活習慣が重症化に深く関わっており、生活習慣の改善で進行を遅らせることができる場合があります。

まず禁煙です。そして過度の飲酒は控えましょう。少量の飲酒のCKDに対するリスクについては検討中です。コーヒー摂取については、一日2杯以上のコーヒーは、1杯以下に比べ、CKD発症・進行抑制効果が認められました。
*コーヒーにはカフェインなど抗酸化作用や抗炎症作用を示す物質が含まれておりCKD抑制の効果が期待できますが、利尿作用もあるため脱水には注意が必要です

CKD と水分摂取量との関連についても今回新たに検証されました。飲水は腎機能悪化の抑制効果が期待される一方、過度になると低ナトリウム血症など副作用のリスクも懸念されます。飲水量を通常よりも意図的に1-1.5L/日追加した群と通常群との比較研究では飲水量を増やしてもGFR低下速度や全死亡数は変わらなかったという結果でした。飲水量が少ない場合は末期腎不全のリスクが上昇するため注意が必要ですが、ご自身にとってどれくらいの水分摂取が最適なのかは、CKD の低下速度等でそれぞれ個別に目安を決めていくことが重要だと思います。

栄養については、食事は国や地域により多様で内容が大きく異なるため根拠が得られにくい分野です。

タンパク質制限については、タンパク質は糸球体過剰ろ過の原因になることや、タンパク質の代謝産物である窒素化合物が尿毒症物質として蓄積されるため、CKD では制限することが推奨されています。その際、充分なエネルギー摂取を確保しないと特に高齢者で体重や筋肉量が落ちることがあるため個々に応じて摂取量を考慮する必要があります。

塩分摂取については一日6g未満の減塩を推奨します。血圧や尿蛋白の改善効果があり、減塩することにより降圧剤の効果がより大きくなります。

また、腎不全が進んでくると体が酸性になってくるため、重曹を内服して体の酸性度を補正しますが、野菜や果物などアルカリ性食品の摂取で重曹内服と同等のGFR低下抑制効果を認めました。ただし、野菜・果物はカリウムが豊富に含まれる食品であるため、高カリウム血症の発症には注意が必要です。

日々の食事管理でCKDの進行を遅らせたり、薬剤の効果を大きくしたりすることが出来るため、食事療法はとても大切です。当院では管理栄養士による食事指導を行っていますので受けて頂くことをお勧めします。

以上ガイドラインに準じてご説明しましたが、必ずしもすべての患者様に当てはまるとは限りません。ご質問のある方は遠慮なくお尋ねください。                        

参考文献:日本腎臓学会編集『CKD診療ガイドライン2023』
★ノエル通信のバックナンバーは当院HPから見ることができます。
(「CKD第1弾」は No.12です)

(院長 橋爪喜代子)

スタッフを紹介します

こんにちは。2023年秋より勤務している受付の堀尾です。
小説や漫画を読むことが好きで、朝から晩まで読んでいることもあります。
医療のことについてはまだまだ勉強中です。こちらの本も読むことで頑張っていきたいと思います。
受付では患者様の立場に立ち、安心して受診していただけるように心掛けていきます。よろしくお願いいたします。

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