ノエル通信

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VOL.16
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Vol.16

みなさまのお役に立つ情報や楽しい話題をお届けしようと思います。ニュースレターの名前は「ノエル通信」です。どうしてノエル通信なんでしょうね。その不思議にも追々せまってみたいと思います。

診療内容

高尿酸血症について
今回は 高尿酸血症についてです。尿酸は痛風の原因ということはご存知の方が多いと思います。紀元前5世紀にヒポクラテスが強い下肢の痛みで発症する疾患を “痛風”と名付けイヌサフランを治療に使ったそうです。イヌサフラン(ユリ科の花)の球根から抽出された“コルヒチン”というお薬は現代でも痛風の治療に使われています。また、尿酸は痛風以外にも腎結石の原因になることも知られていました。さらに最近では尿酸は高血圧、メタボリック症候群や糖尿病などの生活習慣病とも関連があり、尿酸が高いと脳卒中、心筋梗塞など心血管病や慢性腎臓病へ移行するリスクが増加することが解ってきました。そのため高尿酸血症の治療は痛風発作を防ぐため以上の目的があると考えられるようになっています。

尿酸はイイ者?ワル者?
ヒトや、オラウータン以上の類人猿では尿酸はプリン体代謝の最終産物ですが、ネズミなどでは尿酸はさらに代謝され尿酸値は1.0㎎/dl前後と低値です。 なぜヒトでは尿酸が代謝されないのでしょうか。 それは、尿酸は生体に悪い 活性酸素を除去する良い効果(=抗酸化作用)があるからです。 しかし最近になって尿酸を生成する キサンチンオキシドレダクターゼ(XOR)という酵素の研究が進み、XORは尿酸をつくる際に酸化に関わるキサンチンオキシターゼ(XO)となり、ワル者の活性酸素をも産生してしまうことが解りました。

尿酸は前述のように血液中では活性酸素を除去する作用を持ちますが、血管壁内に取り込まれると活性酸素を産生し、動脈硬化が起こります。 実際、動脈硬化のプラークの中に尿酸が多く含まれ、尿酸降下薬(XORを抑える薬)によってプラーク形成が抑制されるというデータもあります。 XORは尿酸と活性酸素との両方をつくるため、 尿酸降下薬を飲むと尿酸を下げるだけではなく活性酸素が減少して血管保護に働き、尿酸値が下がる以上のメリットがあると考えられています。

さまざまな炎症を起こす尿酸
尿酸により動脈硬化が進む原因には免疫もかかわっていることが解ってきました。 尿酸は免疫と関係している“インフラマソーム”という物質を活性化して炎症を誘導し、血管障害を起こします。 免疫は病原体の感染を危険シグナルとして感知し、炎症を起こして病原体を排除しますが、尿酸や過栄養による代謝物に反応したインフラマソームの活性化は、炎症が持続してしまい、生体の損傷につながります。免疫は人間の体を守る機能を有する一方で傷つけることもあるのです。

また、尿酸は血管だけではなく様々な臓器で炎症を起こすため尿酸を下げる薬は、高血圧や心臓、腎にも保護的に働き、脳卒中や心筋梗塞、腎不全の予防にもなります。 そのため痛風の症状がない高尿酸血症の患者様への尿酸降下剤の治療の必要性が議論されています。 高尿酸血症の治療にはまず生活習慣の改善が大切です。

レバーなどプリン体の多い食べ物の過剰摂取を控え、果糖の多いジュース、飲酒も控えてください。 特に果糖に関しては甘味料として色んな食品に含まれているので注意が必要です。運動不足の解消とともに、水分を多く摂ることも重要です。薬物治療を行っている方は急激な尿酸値の変動を避けるため、お薬はきっちり続けて下さい。

尿酸が体質的にもともと低い低尿酸血症の方もいます。 尿酸が生体には欠かせない抗酸化剤でもあるため遺伝的に極端に低い場合は治療の対象となることがあり、方針が示されました。 高すぎても低すぎても良くない尿酸をいくらくらいにすればよいのか、現在介入試験が行われており、近日中にガイドラインの改訂が予定されています。 予備知識として皆様に尿酸について知って頂ければ幸いです。                                 (院長 橋爪喜代子)

スタッフを紹介します

こんにちは。ナースエイド西田です。 H27年3月より週2回、午前診で勤務させて頂いています。 風邪やインフルエンザもまだまだ流行っていますが、出来るだけ元気に過ごせるようにと、うがい、手洗い、マスクに加え、自宅では院内でも使用されている、抗菌作用のあるティートュリーオイルを、アロマディフューザーを使い、風邪予防にと心掛けています。 みなさんのおすすめ予防法があれば是非教えてください!まだまだ至らないところが多々ありますが、患者さまへ寄り添う気持ちを大切に、心配りと笑顔を忘れずに頑張って行きたいと思います。 これからもよろしくお願いします。



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