ノエル通信

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VOL.18
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Vol.18

みなさまのお役に立つ情報や楽しい話題をお届けしようと思います。ニュースレターの名前は「ノエル通信」です。どうしてノエル通信なんでしょうね。その不思議にも追々せまってみたいと思います。

診療内容

脂質異常症第二弾!

脂質異常症についてはノエル通信8,9(HPからも読んで頂けます)で一度ご説明しましたが、2017年には動脈硬化性疾患予防ガイドラインが改訂となり、それに伴い2018年脂質異常症診療ガイドが新しくなりました。それらに基づき新しい情報などをお伝えします。

 脂質異常症は動脈硬化の原因となり将来、動脈硬化性疾患、特に冠動脈疾患(心筋梗塞・狭心症のこと。冠動脈=心臓を養う血管の動脈硬化による)の発症・死亡が予測されます。動脈硬化は糖尿病、慢性腎臓病などもリスクとなり、他にも喫煙、血圧などの因子が影響するため、それらを包括的に評価し、どの程度冠動脈疾患になりやすいのかを予測するアプリがあります。(日本動脈硬化学会サイトの患者様向けアプリ“これりすくん”↓)
これりすくん
 動脈硬化とは血管の内側にプラークが形成され狭くなったり詰まったりする状態ですが体質や他の生活習慣病の合併などにより同じコレステロールの値でも動脈硬化の進展度には個人差があります。動脈硬化度の検査のひとつに『頚血管エコー』があります。首の動脈の壁の厚さ(内中膜厚IMT)やプラークの有無により、全身の動脈硬化の程度が評価できます。また、CTやMRI、MRAによっても脳や心臓の動脈硬化の程度が把握できます。( ノエル通信No.8参照)

まずは生活習慣の改善
 脂質異常症の予防・治療は生活習慣の改善から始めます。“メタボ”の場合は体重を減らします。一般的な生活習慣改善については前回とほぼ変わりありませんがよくご質問を受けるのが“玉子”についてです。
 厚生労働省による2015年版日本人の食事基準では、コレステロール摂取の上限がなくなりました。これは、コレステロールの吸収は個人によって大きく異なり、肝臓での合成量の調節にも個人差があるため、健常人では、沢山玉子を食べてもコレステロールが上がらない人がいるからです。しかし高LDLコレステロール血症の患者様では、コレステロール摂取量を制限するとLDLコレステロール低下効果が期待でき、その結果動脈硬化性疾患の発症予防にもつながります。
 総カロリーを減らし、魚、野菜、大豆製品を増やす、“伝統的な日本食”が動脈硬化予防にお勧めです。“伝統的な” というのは 食生活が西欧化する以前の日本では雑穀類や、大麦、精白度の低い米が多く摂取されていたため、白ご飯よりは昔ながらの未精製穀類の方がより良いとされています。ただし和食は塩分が多いことが課題です。塩分は1日6g以下を心掛けましょう。また、禁煙、運動が動脈硬化予防に有効であることは勿論変わりありません。

薬物療法の効果と家族性高コレステロール血症
 生活習慣改善で効果が不十分な場合、特にリスクの高い群では早期より薬物療法を併用すべきといわれています。コレステロールのお薬については色んな意見が聞かれるなか、ガイドラインでは、どの脂質異常治療薬においても有効性・安全性は確認されており、患者様それぞれに適応、禁忌、慎重投与に留意し、治療目標値を達成するよう薬物療法を行うとされています。LDLコレステロール低下のためにはスタチンというお薬が推奨されており、多く投与されています。血中コレステロールの低下だけではなく、血管壁に出来たプラークの安定化(剥がれにくくなる)にも効果があるといわれています。副作用としては筋肉痛、しびれ、肝機能障害などがあり、併用薬によっては(飲み合わせ)副作用の頻度が増えることがあります。
 コレステロールに関しては体質も関係しており、200~500人に一人は遺伝性の家族性高コレステロール血症(FH)といわれています。幼少時から血管ばかりではなく皮膚やアキレス腱にコレステロールがたまる重度(ホモ)のFHでは冠動脈疾患発症リスクが高く、早期診断・治療が重要です。軽度(ヘテロ)でもFHではない場合よりリスクはあり、家族に若くして冠動脈疾患を起こした方がいるなどFHが疑われれば薬物療法が必要です。FHではPCSK9阻害薬(注射薬)やMTP阻害薬という新しいお薬も出てきています。
 動脈硬化性疾患よる死亡は“がん”に次ぐ我が国の大きな死因となっています。動脈硬化性疾患、特に冠動脈疾患の主たる危険因子は高LDLコレステロール血症であることは、疫学的にも、ゲノム(遺伝子)解析からも明らかになっています。健診などで脂質異常症を指摘された方は、生活習慣の改善は勿論、薬物療法の必要な場合は治療の意義や副作用などを理解されたうえで治療を受けられることをお勧めします。

(院長 橋爪喜代子)

スタッフを紹介します

8月下旬からお世話になっています、看護師佐藤です。大阪に生まれ兵庫で育ち、今まで阪神間を出たことがない生粋の関西人です。現在は主人と娘、うさぎ1匹と吹田に住んでいます。
看護師になって20年近くになります。この仕事の楽しさを語り出すと、熱く、長―くなるので今回は我慢しますが、今も好きな仕事を続けられる環境と出会いに感謝の日々です。最近25年ぶりにピアノを習い始めました。この年で生徒になって新鮮な時間です♪月に数回ですが、患者さんに寄り添える看護を目指して頑張っていきますので、よろしくお願い致します。
うさぎ


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